ネタバレ有り・映画マッチング感想。
原作先行で読み、漸くU-NEXT様のおかげで見ることが叶った映画マッチング。
遡ること2023年の6月に公開された映画マッチングのストーカー永山吐夢役の佐久間大介くんのビジュアルには、衝撃を受けました。
その頃まだファン歴はたったの4ヶ月強。まだ色んな動画を漁りつつ佐久間大介くんという超ダンスが滑らか且つ激しく笑顔が可愛くて面白い彼を推し始めた頃。FC登録も諸々の感情の理由で躊躇っていた頃。その少し前に少々不気味で何故か白金のような髪の佐久間大介くんをSnow ManのYouTubeで見たばかりの頃。
「え?すごい!映画!え?佐久間くんがストーカー?あんなに可愛い人なのに目が死んでる?!何これ!とにかくおめでとう!佐久間くんすごい!!」
これが私の感情でした。
だけど目にした色々なポストは、やっと、ついに、と待ち望んでいた声。その時初めて佐久間くんが白金髪だったのが2022年9月頃だと知り。佐久間担の皆様、本当におめでとうございます、なんて勝手に思っていました。だけど公開はまさかの2024年の2月。先は長いなぁ、と思っていました。
正直この頃は自分が何処まで佐久間大介くんというアイドルとSnow Manというアイドルグループを推すのか分かっていなかったので、見たいなぁと思いながらも多分「まあ、2月じゃ見れないな、まあ良いか」という感情の方が強かったです。
だけど思ったよりも自分は惹かれていて。他のアイドルも推している中、浮気は許せない自分は今正に浮気をしようとしている。でも、もっと知りたい、応援したいという感情が勝った6月末にはFCとブログに入会していました。
…そんなことはどうでも良い。沼落ちはまたいつか何処かで。話題を映画マッチングに戻しましょう。
※映画・原作マッチングのネタバレになります。ご注意ください。
※考察・偏った考え方も多く含まれております。ご了承ください。
まず、原作を読んだ感想。張り巡らされた伏線、気になる言葉回しの全てをかき集めて伏線回収していって。なのに予測不可能な動きがあり、雑誌やインタビューで何度も話されていたとおり、思うように真っ直ぐ進めない気分でした。特に中盤はその足を進めたいのに思う方向に進まない。何処へ行ってもスッキリさせてくれない。雁字搦め状態の主人公、唯島輪花の感情に引っ張られながら更に辛さを上乗せする、残酷だなぁと思いつつもそれだけに感情移入させないもう一人の主要人物、永山吐夢の存在とその思考回路。2本の糸は絡み合うことなくするりと解けてしまっていたのに、最後の最後で絡み合う。この糸は絡まったままになるのか、誰かが、はたまたどちらかが切り落としてしまうのか。続編永遠に待ってます。
そして、今回見ることの叶った映画マッチング。沢山の人が見たような映画館の大画面で見ることは叶わなかったけれど。自分の13インチのノートパソコンの画面とイヤホンだけでも、凄まじい雰囲気に飲み込まれそうになりました。
こちらから、原作マッチングと映画マッチング済みになった人間の感想や考察です。↓
登場人物について。
まず、土屋太鳳さん演じた唯島輪花。序盤からまるで人生に疲れたような表情。ため息がとても印象的。笑顔でも影が全く消えない、むしろ怖いまである笑顔ばかり。様々な恐怖や悲痛に歪む表情。凄く表情豊かな方だというのが凄く伝わる彼女の人生の1ヶ月でした。全てを失ったとしても、輪花の人生に心からの全力な笑顔がありますように、と願わずにはいられません。そして輪花が1番この作品で笑顔だったのは、ラストの病院からの水族館。はにかむ笑顔は影が無いように見えました。ずっと自分をストーカーしてた男に心が動いて、自分から彼の手に触れるほどに。裏で何が起こってるのか全く知らずに。可哀想に。
そして、主要人物よりも準主人公とも言えるのではないかと思う、輪花のストーカー、佐久間大介さん演じる永山吐夢。ご本人が言っていた、吐夢の登場シーンは笑ってしまう、の意味がやっと分かりました。吐夢は変なやつ、と散々監督に言われたそうですが、リアルにいたら違和感どころの話ではなく職質受けたり不気味がられたりする存在である筈なのに。マッチングという世界に完全に溶け込んでいる、作品一不気味な存在でした。多分水族館ですれ違った家族の反応が1番正しい反応。それは置いておいて。まるで熱を全く持っていない深海魚のような存在の吐夢が輪花の腕を掴み小さいながらも息を荒げるシーンが凄く印象的でした。あなたを助けたい、と何度も言った吐夢ですが、吐夢は輪花をどう見ていたのか、凄く気になる部分です。続編待ってます。
そして、金子ノブアキさん演じる影山剛。笑顔が爽やか裏がない、優しい人という印象が一瞬にして崩れ落ちた人。勿論裏に何か秘めてる印象だったけど、輪花のウィルウィルの使用を知って、彼女を検索してからの確信を得た時の表情、そして彼女を節子のアパートまで連れて行き殺害しようとした時の表情。本当に怖かったです。復讐相手を漸く見つけられた、その喜びの涙を流しながらの綺麗な笑顔から豹変するような怒りは多分作中1番怖い表情でした。その涙まで流した喜びと怒りを押し殺して輪花と何回出会って優しい言葉をかけてきたのか。恐らく吐夢に付き纏われて悩んでいた輪花に相談を受けた時は、向こうから近づいてくれて願ったり叶ったり、など思っていたかもしれないと思いました。
音楽について。
曲中、ほぼメインテーマとも言えるボレロ。最初は静かに、段々楽器が足されて盛り上がりを見せてドラムも激しく振動を与えるようになる曲。バレエも規則正しいステップから段々と動きが大きくなっていく有名な演目です。それを様々な部分で利用して、だけど時には不協和音になってしまう音。心地よく聞いていられませんでした。規則正しいテンポ、そしてずっと同じリズムのドラムを持つボレロに横から蹴りを入れるような音の変化、不気味にリードされていく音。まるでアプリ婚をして殺されたたくさんのカップル達、そして輪花ちゃんの人生のようですね。平穏を許さないような。音楽ものすごく詳しい訳ではないので大きな声では言えないけど。そして、全体的に弦楽器多く伝われたBGMもとても印象的でした。
感想・考察・思ったこと雑多。
① エグい相関図。吐夢の存在。彼は、節子と芳樹の不倫関係の結果できてしまった存在。ということは、吐夢は輪花と異母姉弟、影山と異父兄弟。影山との関係ははっきりと原作の方で描かれていましたが、本当に呪いのような血の繋がりですね。吐夢はこれを何処まで知っているのか。原作と映画を見る限りでは、吐夢は双方と兄弟であることに気付いているけど、影山と(もちろん)輪花は吐夢との関係に気付いていないと思いました。影山が行き着いた、吐夢と輪花の父親と不倫相手の関係性。これ、本当に影山分かってたのか、輪花を誘き寄せる為の口実に使われただけなのか。疑問です。
② 吐夢があんなに輪花に執着している理由。愛に飢えている。だけど、原作で語られた今までマッチングもしくは出会った女性たちに対する吐夢の思いは大事だからこそ壊したい、壊して感じる愛おしさがあったように思いました。だけど輪花に対しては守りたい、大事にしたいという想いが強かった。それは何故だろうと思って、血が関係するのかな、なんて思ったり。今までの女性達は赤の他人。彼女たちから真の愛を受け取ることの出来なかった吐夢。吐夢が飢えていたのは愛は愛でも親愛なのかな。だから西村が見つけた吐夢の情報蘭に家族は「なし」ではなく「不明」になっていた。いつかは誰でも良いから自分と同じ血が少しでも流れる無償の愛をくれる筈の家族と巡り逢えると信じていた?吐夢が輪花から受けたいのは恋愛からの真愛ではなく、姉という立場の親愛からの真愛?原作最後から2行目の言葉の意味は、そういうことなのか、もしくは将来結婚を既に視野にいれていて結局2人も他のカップルと同じようになってしまうのかな。2人は結婚すれば「アプリ婚」という部類になるし。吐夢はどちらを選ぶのかな。…なーんてずっとぐるぐる考察してました。でも、「例えば、愛してくれるとか」のセリフが凄く印象的でした。普通他人だったら「付き合ってくれる」や「一緒にいてくれる」「そばに居てくれる」的な言い回しになるのかな。まだ付き合っても居ない段階で「愛」を輪花から求めるのはやっぱり輪花を家族として見ていたのかと思いました。
③ 節子が吐夢を刺したシーン。原作では節子が空を仰いだ様子をマリア像が見ていた、と書いていたけど、映画では手に着いた血を眺めていました。その時の節子は凝視していた印象。吐夢の血そのものに心動かされる何かを感じたのか…ちょっと気になりました。でも本人はその場で何か感じたにしても、気付いてはいませんでしたね。その後、吐夢と再会シーン。節子は今まで心の何処かにずっとコインロッカーに置いてしまった愛する人との間にできた子が居たのかな、と考えると、輪花を思うと全てを拗らせた悪夢を作り出した張本人ですが、吐夢を思うと貴方は少しでもずっと誰かに思われて居たんだよって伝えたくなります。
④ 車椅子の女性の不気味な笑みについて。影山から届いた手紙に対する笑みの意味が、映画でも原作でも分かりませんでした。これは最終的に分かる輪花の母・美知子の笑みです。まずこの時既に彼女は何年もの間洗脳され続けていて、ぼんやりしており過去の記憶が無いに等しい。自分はマリアだと洗脳され続けていたから、自分の子供からの手紙と判断して喜びを感じていた?その家族写真に特に反応を示さなかったのか、示せなかったのか。そもそも文字は読める状態なのか?でも節子が話しかけてる辺り、理解はしているのかな、と。モヤモヤな部分です。ところで未知子は芳樹が刺されたことで恐らく不倫を知り。どんな思いで節子について行ったのでしょうか。
⑤ 映画では強調されなかったなんか嫌な奴、和田拓馬。原作を読んでもそこまで彼の重要性に気付けませんでした。だけどよく考えてみると、和田がマッチングアプリを“パトロール”していた時に影山が目撃した輪花のプロフィール。パトロールする和田を注意する部分は、本気で「こいつマジで何やってんだ」感があったように思いました(個人的には)。ただ、和田が開いていた輪花のプロフィール写真のクローバーに目を止めてしまった影山は、そこからずっと画面を凝視していたように見えました。女性の方は和田を呆れ顔で見ていたけど。そこからずっと息を潜めていたであろう復讐心が爆発したのかな。なんてことしてくれたんだ、和田。でもきっと影山はファインプレーだ、和田、と思ってたかもしれません。まあでも、輪花が影山に相談した時点でバレてしまうので和田がいなくても復讐劇は始まったと思いますが。
⑥ 吐夢のマッチングアプリカップル殺害と、影山の片岡夫妻殺害の差。吐夢はカップルに発言する自由を残していたけど影山は煩かったのかガムテープで止めていました。吐夢は最後の最後に絞り出すかもしてない言葉を取り逃がしたくなかったのかな。原作には何時間もその状態であったと書いてありました。だけど多分影山はさっさと素早く殺すつもりだった?だから女性の上に乗り上げて押さえつける必要ができてしまったのかな。そしてそんなことよりも決定的に違ったのは、吐夢は必ず指を組ませていた。これに意味はあるのかなと思って調べたら、キリスト教における祈りのポーズ。愛を誓い合わせるポーズをさせた、が1番近いのかな、と。でも一般的に知られている恋人繋ぎ、でも吐夢はそんな簡単に誰でも少しの感情でするポーズはさせないだろうし、キリスト教を強調しているので、やっぱりお祈りかな。それとも愛情を雑に扱った罪を償え、という意味を込めて?
⑦ アプリ婚にも種類がある。どうしてもフォーカスされてしまう吐夢が殺害した、吐夢のお眼鏡に適わなかったカップル達。特にギャルのカップルの偽りの愛を反吐が出るような思いで語っていた吐夢。じゃあ片岡は?影山に殺害された際、「やめろ」と女性を殺そうとする影山を原作で止める声をあげた片岡でした。片岡夫妻の様子を見たら吐夢は少しでも心を入れ替えたりした可能性はあるのかな?そして、作品からのメッセージでもあるのかな、とも思いました。全部のカップルが偽りのような関係ではない。その先でどの様に愛を育むかで関係は変わっていくんだ、という。
⑧ 節子について。彼女は、本当に警察に捕まった?もしくは逃げ出したか。殺人未遂は7年以下。獄中に出産は可能だそうですが、節子はコインロッカーに反応したということはコインロッカーに自分の子を置き去りにした記憶がある。でも芳樹を刺した際、他のアパートの住民に通報はされてるだろうから、どういう順番で動いたのかが気になりました。芳樹を刺した後に唯島家は引っ越して、そのあとに節子は未知子を今の森の奥の家まで誘拐した。そしてあの森に行ってから外に出たとは考え辛いと思いました。だから出産はその前に終えている?そして警察のお世話になっていたらもっと捜索が行われていて25年も野放しは難しいのでは?と思いました。じゃあ警察には捕まってないし通報も無い?だけどじゃあ影山はどういう経緯で施設に入れられたのか。
⑨ 血は争えない。節子と吐夢。2人ともストーカーで2人とも盗聴器を使いこなして、2人とも愛に飢えていた。吐夢は家族愛、親愛から。節子は多分影山剛の父親、節子の未婚相手に捨てられたのかな。だからチャットルームで出会えた芳樹に執着して、家に入り込むまでしてしまう。2人とも相手に突き放されても近づこうとする。そして、神への執着。節子が聖書を信じている描写が何度もありましたが、吐夢は偶々見つけた聖書に惹かれていました。たまたま同じものに惹かれたんですね。四つ葉もキリスト教由来の意味。作中で紹介されたものだと節子は「私のものになって」を意識して、影山は「復讐」を意識して、吐夢は「愛」を意識していたのかな。生まれた時から持っていた四つ葉のクローバーの意味には何が込められていたのか、きっと吐夢自身も知りたいのでは、と思いました。
吐夢くんを愛したい。
愛に飢えてる吐夢くん。鮫の目と言われたその瞳は、孤独な寂しそうな目でした。その部分で登場しても、その瞳は半開きでハイライトが入っていても暗い不気味な印象でした。だけど病室ではもう少し目が開いていた吐夢。貼り付けらえた量産的な笑みではない笑みを顔に出したのは多分このシーンが初めてなのかな。凄く柔らかい雰囲気でした。押してダメなら引いてみろ感ある吐夢くん。幸せになってください。その後は懲りなかったけど。
見てみたかったシーン。
節子のアパートでの吐夢vs影山前の会話。輪花ちゃんが初めて吐夢に助けを求めたシーン。なんで取り除かれた?!と思いましたが、原作前半の色々がないと成立しない会話文のようにも思えたので、仕方がないのかな。そして西村のマッチングアプリ事情と吐夢との会話。原作にあったこれのお陰でどうやって吐夢と輪花が救われたのか、などがよく分かりました。
吐夢くんが可愛いすぎる件について。
此処からはただのオタクの全肯定叫び。
吐夢くん登場不安そうな表情可愛い。のそのそ歩くその姿可愛い。少しずり足感あるの可愛い。遠くから輪花を見てるその姿可愛い。でも警察呼ばれそうになってちょっと焦ったのか(多分全然焦ってない)とにかく可愛い。お仕事中に誰かの小指を見つけて興味津々で、小指の写真を撮るのかと思いきや、小指と自撮りしちゃうの可愛い。しかも3ショットも。しかも最後はピースまでしちゃって。可愛すぎないか?生き物が好きな吐夢くんはきっと元生き物の一部も気になったんですね。巡査きて、白いフード取って頭かく姿は猫のそれで可愛い。写真見せられて会ったことがある人「いませんね」からの輪花の写真で「いましたね」の言い方大好きでした。そのあと輪花ちゃんの写真欲しがっちゃう吐夢くんは間違いなくピースフルなファン。アイドルの生写真集めるのが大好きな私と一緒です。そして輪花と影山のシーン。響き渡るちょっと低めな警察の声、本当に素敵でした!!!!!カッコよかった!!!そして階段駆け降りるシーン…吐夢くんの後ろを見ずに前を見て進む感じが本気度凄くて好きでした。その後のvs影山も凄かったです!掴み合い避け合い殴り合い…そんなあいことば…(やめなさい)。刺されそうになった時一瞬だけ不安そうな表情したのが忘れられません。だけどその後の輪花ちゃんもカッコよかった。力強く太めの声での叫び、イケメンでした。その後屋上でフードを取ったと頭フリフリするシーン小動物味がありました。やっぱり可愛かったです。節子から輪花を庇う吐夢くんもかっこよかった。
ラスト1秒に反転した愛について。
…本当にこれは映画でなければ分からなかった部分。まさかラストの文章がそうなるとは思いもよりませんでした。でも色々考えてしまった。「僕は誰よりも真の愛を手に入れた」とほくそ笑まれててもおかしくないし、「次はお前だ」とも読めるし、最後の笑みに色々込められる気がして。原作の文章を超えてしまう表情でした。本当にビビりました。そうなるとは思わなかった。そして映画見るまでは気にならなかったクラゲ。四つ葉が潜んでるだなんて…
マッチング2、見てみたい。
原作で描かれた永山吐夢の心情が映像で表に出た時、どのように映るのかが凄く気になりました。吐夢の過去も非常に見てみたいし、彼が凄く惹かれたという高校の彼女も気になる。とにかく全てが気になります。このあと吐夢と輪花に進展があるのかないのか、吐夢は輪花は壊れてしまうと思っているが果たしてどうなのか。…壊れてなかったら、吐夢と歩む選択肢は出てこないとも思いましたけど。
そんな感じです。映画マッチング最高でした。
パンフレット見てきます。
ありがとうございました。